バリー リンドン

 レイモンド・バリーの栄達と転落の人生がナレーション入り二部構成で描かれており、なんだか起伏がないし(あえて抑制してる?)、ストーリー的には総集編というかダイジェストな作りなのでおもしろくない。
 でも、個々のシーンが素晴らしく美しい。各シーンほとんど絵画のように計算して配置されていて、映画というよりも活人画か絵巻物みたい。暗い室内に窓から日の光がさしているところは、レンブラントの絵をそのまま持ってきているみたいで、遠景だと人間が動いているのに違和感を感じるほど。
 ちょっとしか出てこないけれど、戦争のシーンがおもしろい。時代背景がフランス革命やナポレオンが出てくる直前なので、長谷川哲也『ナポレオン 獅子の時代』の戦争シーンを思い出すと楽しい。歩兵は鼓笛隊の音にあわせて行進し、前列が撃たれて倒れたら、すぐに後列の者が穴を埋めて行進を続ける。イヤすぎ。
 レディ・リンドンって見た目が田村ゆかりみたいじゃよね。なんでキューブリックの映画には吹き替えがないのかとか、そういうようなことが言いてえ。