46話『東へ』

 アバンタイトル佐々木只三郎が撃たれてギャワー。ここで大坂城に担ぎこまれずに官軍に捕まって坂本暗殺を自供していれば、あるいは近藤は斬首を免れたのかもしれないなーと思うと複雑な気持ち(馬鹿は身勝手なことを思った)
 鳥羽伏見の戦いでの敗北後の徳川側と新選組のそれぞれの様子を粛々と描いているところがすごくいい。大石鍬次郎が周平に水を振舞うところとか、さらりと流しているところが好き。お世話になった八木家の面々が出てきたり、本願寺の西村さんとか捨助に助けられたり、おまさとおそののことにも触れているし。
 原田がおまさに「日本はこれからどうなるの?」と聞かれて「それは聞かない約束だろ?」と答えるところがおもしろいなーと思ったら、ゲェー! 原田は日本の今後どころか中国に渡るとか言い出したのでビックリしますね。『行殺☆新選組』でいうところの原田EXシナリオのフラグが無闇に立って明日への橋がかかったんじゃよー! そういえばカモミール芹沢も暗殺したし、坂本殺害現場で「こなくそ」と叫んでいたし、寛永寺を切り抜けて満州馬賊でなってもちっともおかしくないんじゃよ? 土方も榎本武揚(役立たずの髭)の洋服を見て「俺のほうがうまく着こなせる」って言ってたし(そのうち金髪になるに違いないのじゃよ?)、近藤斬首後のそれぞれの身の振り方も少しずつ伏線が張られているのかと思うと嬉しくもあり悲しくもあり。
 ついに万能監察山崎烝も倒れる日が来てしまった。西洋医術と東洋医術の医療レベル3を持っていても、やはり自分の傷の治療はできないみたい。おお、山崎……閃光のような「よろこんで!」がこんなになっちまって……
 慶喜に食ってかかる勝海舟は、「だから、遅すぎたと言ってるんだ!」と叫ぶ後藤喜一みたいじゃよね。海軍を使えば勝てるといいながら、勝てる力を持って恭順するのだと説いているのは、慶喜好みの策を見せて無益な戦いをしないように誘導していたんじゃろかー。「自分が不利の状況で 頭を下げるのは下策だよ。 頭は優位に立ったときこそ下げるもんだっちゃ!」 その声は、ラム先生口調の内海課長
 屯所で書類を焼きながら「過ぎ去ったことには興味がないんだ」と嘯いていた土方が、三年前の新選組編成表を持っているところがすごく好き。斉藤の言うように、新選組は土方が作ったようなものだもの。江戸に引くという近藤に「近藤を大名にするためにも京都で一旗あげるまで帰らない」とがんばる土方、「勝つために帰るのだ」と諭す近藤の関係は、その後五稜郭まで戦い抜く土方の心情に重なる。富士山丸で近藤周斎の真似をするけれど、ただの田中邦衛の真似であり、わりと反則技。
 つねさんはかわいいなー。にっくき深雪太夫も今はなく、近藤とやっと一緒に暮らせるようになったおつねさんの心情は「勝った! 『新選組!』完!」なのだろうけれど、残念ながらもうちょっとだけ続いちゃうのが気の毒すぎる。具体的に言うと、近藤の斬首まで。