デッドコースター

 ファイナルデスティネーションの続編だけれど、思ってたよりも話がつながっていてビックリしますね。
 前作冒頭の飛行機事故の幻視もすごかったけれど、今回の玉突き事故の描写はさらに素晴らしい。一瞬の事故でだれがどのように死ぬのかを克明に描写しきっており、玉突き事故ならではの連鎖的な死をいちいち克明に追っているのが楽しいね。今回の死神はこの玉突き事故に相当な自信を持っているのか、連鎖的に複数のターゲットを殺すことに凝っていると思った。エアバッグ→ワイヤーのコンボは意外なつながり方をしてビックリ。あんな奇想天外なやり方で二人を殺したら、かなりの高ポイントだったんだろうなー。
 相変わらず「死の予兆」の使い方がうまいなー。思わせぶりなものをいっぱい写して、どれを使ってどう殺すんだろうと想像させるところがこのシリーズのミソであり、最初の犠牲者が一番凝っているのは前作と同じじゃよねー。絶対ディスポーザーに突っ込んだ手がギュイーンってなってギャワーだと思ったのに、あれがあんなんなってこんなんなってギャワーだもんなー。スパゲティを外に捨てるのはよくないと思った。
 前回必死に死の筋書きを回避していたアレックスがあっさり死んでいて、クレアが精神病院に自ら篭ることでなんとか死の筋書きを回避し続けているところがショッキングでもありおもしろくもあり。すっかり荒んじゃったクレアの元にやってきた今回の主人公キンバリーはクレアを挑発して自分たちの死を回避させようとする。わしだったら絶対協力しないけれど(死にたくないーッ! まして他人のためになど!)、クレアはいい子だからつい協力しちゃうんじゃよねー。
 いい加減な幻視でいろんな人をみすみす見殺しにし、せっかく死の筋書きから逃げていたクレアを引っ張り出して自分の勘違いで殺しているキンバリーが、なんか変な理屈でうまいこと予兆から逃げ切ったあとはすっかりいい想い出にしているからおそろしいぜ。ってゆうか、生死をともにしたいい男もゲットして満足してないか? これがアメリカ的個人主義ってやつじゃろかー? 必死にがんばったのが空回りするところは前作のアレックスと同じなのに、キンバリーには全然同情できないんじゃよねー。続編があるなら冒頭ですごい死に方をすればいいと思ったわしは、もうすっかり死神なんじゃろかー。
 「新しい生命」とかなんとかわけのわからん理屈で死の筋書きを無効にしているのが納得できなくて、監督は前作の試写会で学んだ教訓を忘れたのかしらと思って平和なバーベキューを見ていたら、最後の最後でおもしろすぎた。あんなうそ臭い勢いで人体が吹き飛ぶのは『快傑ズバット』以外にはありえないんじゃよー! そして食卓に腕がどさっと落ちたところでスタッフロールなあたり、さすが監督は話がわかる。
 あの火葬場の人ってどこかで見たことあると思ったら、『キャンディマン』だったのね。キャンディマンも老けたなあ。
 あと、死の筋書きを知った男の一人がキンバリーに家の鍵を渡して「おれが死んだら葉っぱとポルノ雑誌の処分を頼む。おふくろを悲しませたくない」というシーンは、男ならだれでも同情するよいシーンだと思った。おれが死んだらハードディスクの物理的フォーマットを頼む。なんかいろいろやばいから。