江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』 光文社文庫

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚 (光文社文庫)

『パノラマ島綺譚』のみ読了。大好きなビオイ=カサーレス『モレルの発明』に似てるとゆう話を聞いて読んだのだけれど、大好きなミルハウザー『マーティン・ドレスラーの夢』みたいだった。ベクトルは違ったが結果オーライなんだろか。

解説でも触れられているけれど、人見の妄想する人造世界と、乱歩の描写する「パノラマ島の実景」がすさまじく乖離しちゃってるんじゃよねー。人見の理想的には、ミルハウザー『マーティン・ドレスラーの夢』でマーティンが行き着いた究極の人造世界『グラン・コズモ』なんだろうけれど、乱歩が描写すると見せ物小屋みたい。その猥雑さと安っぽさが味でもあるのだけれど。ミルハウザーと乱歩ってもしかして似てるんじゃろか。

ちくま文庫の『江戸川乱歩全短篇』くらいしかまともに読んでなくてもひとつ言えるのは、なんでこの話で無理矢理ミステリの形をとるのかとか、そうゆうようなことを言いたい。でも、無理矢理ミステリなところがなんか胡散臭くていかがわしくて楽しい。