クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』 早川ミステリ文庫

スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1)

スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1)

実家にあったのを、ものすごく久々に再読。筋はまったく覚えてなかったけれど、読んでるときのドキドキワクワクは当時のままだと言い切れる。

ミステリ作家の子供たちが、親の作品からミステリの作法を学んでそのとおりにしようとするところや、無関係な子供だから必要な情報を一切与えられずに右往左往する様が愛らしすぎる。

子供たちが浅知恵で捜査に無用な混乱を引き起こすのは、アントニイ・バークリーの生んだすごい探偵シェリンガムさんを思い出させて楽しい。てゆうか、シェリンガムさんの倫理観は子供レベルと考えれば納得できすぎる。勝手に証拠隠滅したり、犯人(勝手に決めつける)を庇ったり、あげく自分自身追い詰められたり。

小憎たらしいが母親のために一所懸命な子供たちはファンタジーの領域だけれど、それはそれで!

てゆうか、売れない女性ミステリ作家(結婚願望はあるが独身)の妄想だったとゆうオチがついたら、シャーリイ・ジャクスンが書くようなすさまじく乙女ちっく狂気なイヤ小説だろうなと思った。