第3話『舞踏会の夜に』

桐生冬芽がウテナに仕掛け始める。ウテナの憧れである王子様を、自らに重ね合わせる作戦であり、女の子の髪に触るという、いきなり難度の高いことを平静を装ってする冬芽すげー。

七実様初登場。話の雰囲気もあり、普通の「嫌味なお嬢様」なのがおそろしいぜ。『少女革命ウテナ』は、登場人物それぞれが自分にとって大切なもの=王子様を守る物語であり、七実も自身にとっての王子様=冬芽を守るために必死なのだろう。なんか色々間違っちゃうのだとしても。

アンシーが、「もっと友達を作れ」というウテナに、「自分にはチュチュがいるから」と答えるのはおもしろい。王子様のみのために生きているアンシーにとって、王子様を巡るライバルになるかもしれない同性の友達なぞ必要どころか邪魔でしかない。

ウテナのお節介に、従いながらも乗り気ではないアンシーが、ウテナにウッカリときめいてしまうところが好き。ウテナの無私利他の行動に、王子様を見るのは間違っていない。

互いに憧れ、でも相手の立場になりたくてもなれない、という意味でウテナとアンシーは好対照すぎる。アンシーの願望がウテナであり、ウテナの願望がアンシー。今は互いに表面しか見ていないけれど、互いを知ることで己を知るようになったとき、互いを羨むようになる二人の関係が嫌すぎるしおもしろすぎる。