ミラーズ・クロッシング

 やっぱりささいなボタンの掛け違いで物事がえらいことになってしまう話。でも『ファーゴ』みたいに全員がなにも知らないままで事態が悪い方に転がっていくということではなくて、わりと全体を見ていて掛け違いを助長しようとする登場人物がいるところがおもしろいね。
 途中までは巻き込まれて途方にくれる役所だったのに、偶然すべてをコントロールできる立場にいることを自覚するや否や、すごい勢いですべてを利用して混迷の限りを尽くしていた事態を自分にとっては八方丸く収めてしまうトムは頭がいいなー。二つの組織の利害関係に挟まれて借金で首が回らないという厄介な状況に置かれた自分をなんとかしようと大奮戦。森に死体を捜しに行くところで絶対ダメになると思ったのに(トムも緊張のあまり吐いてるし)、納得の出来る偶然で助かってしまうところがコーエン兄弟らしい脚本なんじゃろか。その偶然をうまく利用して必然にしてしまうところとか。
 そして、やっぱりスティーブ・ブシェミはちょい役で出てても変な顔ですぐわかりますか?
 ギャング映画で組織のボスは、襲われたら大抵死んでしまうけれど、レオは冷静沈着に刺客を返り討ちにしていてカッコイイ。ベッドの下から刺客の足を撃って、転んだところで頭を撃ち抜くシーンは、『キル・ビル』のアニメパートを思い出した。