チャイナタウン

 ジャック・ニコルソンはかっこいいなー。オシャレでタフな私立探偵役のイメージは、普段のジャック・ニコルソンの言動から作られたものとインタビューで言っているのも納得できる。
 事件の真相に到達はするが、それがハッピーエンドにつながるわけではないところが好き。ジャック・ニコルソンをはじめいろんな人が様々なニュアンスをこめて呟く「チャイナタウン」という言葉の意味は、製作者のインタビューを見るまで意味がサッパリわからなかったけれど、探偵というのは警察と違ってお節介焼きであり、知らなくてもいいことまで知ろうとして事態を混迷させているという意味だったのね。そのつもりはなくても片棒を担がされている探偵。ジャック・ニコルソンが警察を辞めた経緯は深く語られないけれど、おそらく今回の事件と同じようなことがあったんだろうということは、警察の元同僚たちの態度(「チャイナタウンだ」)からも匂わされていて、匂わせる程度の微妙な匙加減が気持ちいい。
 標的の車のタイヤの下に懐中時計を置いて、止まった時間で車の移動時刻を知るところとか、追跡する車のテールランプを片方だけ壊しておいて目印にするところとかが好き。なんかプロの探偵っぽい。
 あと、黒幕っていうか真犯人のおっちゃんが、全然悪そうに見えないのですごすぎる。確信犯でもないし、悪いことをしているとは全然思っていないっぽいし、いつもニコニコしてる好々爺にしか見えないし。でも、実の娘を孕ませるわ、農民に嫌がらせをしつつダムとか土地とかで大もうけを企むわ、金儲けのために親友をハメるわ、ハメるどころか自分の手で殺すわ、娘の娘(娘であり、孫)を取り上げようとするわ、こんな悪人見たことねー! そんな悪さは微塵もかんじさせることがなく、終始生臭さのかけらもないようなおっちゃんであり、問い詰められて豹変するわけでもないのに、真相がわかったあとだと全然変わらないニコニコした顔が薄気味悪い。