ザ・クラフト

 アメリカン魔女っ子映画かと思って見たら、それぞれコンプレックスを持つ4人の少女たちがマイノリティ同士で寄り集まって黒魔術ゴッコをしてガス抜きをしているところが微妙にリアルでイヤすぎる。『ファンシーララ』のつもりが、『夕闇通り探検隊』だったぐらいの落差じゃろかー。しかも、全員クメコウジロウ。猫ちゃんを瓶詰めにして多摩川河川敷に埋めるのだって厭わないくらいの魔女っぷり。
 満たされぬ思いを黒魔術ゴッコで昇華しているうちはよかったのに、ホントに魔術が使えるようになっちゃって大変なことに。今まで日陰暗黒青春街道一号線をブッチ切りで爆走していた4人組だけに、黒魔術ですべてが思い通りになったことを知るや否や大暴走。いけ好かないブロンドっ子を禿にし、ろくでなしの継父をぶっ殺し、アメフトプレイボーイをメロメロにし、端っこ人生に復讐を開始するのでした。この復讐ぶりが、痛快というよりも痛々しいんじゃよねー。ストレートに自分たちの青春に復讐しすぎ。そして、こんな捩くれた根性の持ち主たちがいつまでも仲良くいられるはずはなく(元々マイノリティ同士が肩を寄せ合っていただけだし)、すぐさま力の行使をめぐって内ゲバに突入するのは映画の流れ的に納得できすぎる。
 4人の魔女っ子たちの微妙な容姿がうまいなーと思った。美人でもなければ不細工なわけでもない、いわゆる十人並みという容姿でそろえていて、魔術で自分に自信が持てるようになってからの変わりようが妙にリアリティがあるような気がする。雑誌とかの広告に載っている使用前使用後のモデルみたいに、些細なことや微妙な心の変化が容姿に出易いラインでまとめている。
 他の人は内ゲバやら良心の呵責やらで大変な目に遭ったけれど、ボニーだけはひどい目に遭いつつもわりと坊主丸儲けじゃよね。他人を呪うというネガティブ方向ではなく、自分自身のためというポジティブ方向に魔術を使ったのがよかったみたい。魔術グッズショップの人もいっていたけれど、魔術には黒も白もなく、いいも悪いもそれを使う魔女次第というのは本当なのかも。