レマゲン鉄橋

 レマゲン鉄橋をめぐって、上層部の滅茶苦茶な命令を受けたアメリカ軍とドイツ軍の末端がそれぞれ酷い目に遭う話であり、おもしろかった。
 クルーガー少佐は颯爽と登場したから、少ない人員でレマゲン鉄橋を守り抜く作戦を立てて橋の向こう側にいる味方を無事に逃がしたり大活躍するんだろうなーと思って見ていたら、元々少ないと言われていたレマゲン鉄橋守備人員は実際はもっと少ないわ、助けてくれると約束した将軍はちっとも助けてくれないわ、一生懸命計画を立てたのに準備が終わる前にアメリカ軍が来てしまってしっちゃかめっちゃかになるわ、すぐ近くの味方の列車を助けるどころではなくなって橋を爆破しようとするわ、導火線が破壊されて爆破できないわ、決死の覚悟で直接導火線に点火したのに爆弾がショボくて橋の爆破に失敗するわ、逃げ出そうとする兵士を撃ち殺して反感を買うわ、援護を求めようと本部に行くと逮捕されて銃殺されるわ、ものすごい勢いで踏んだり蹴ったりなので気の毒すぎる。
 この辺はアメリカ軍の下っ端代表であるハートマン中尉(戦後は海兵隊の訓練教官になるんじゃろか?)もそんなに変わらない。空爆するわ、戦車でバリバリ攻め込むわで圧倒的に有利なのに、上層部は橋の破壊から占拠に目的を変更し、ハートマン中尉の部隊は小銃だけで橋を渡る羽目になるのでやっぱり気の毒すぎる。
 押井守『メカフィリア』では、『レゲマン鉄橋』での特殊な条件下での戦闘のことを指摘していたけれど、納得できすぎる。いくら味方に戦車や爆撃機があっても、橋を渡って占拠するという目的を達成するには歩兵が捨て身で突っ込むしかなく、そうなれば敵の武器が機関銃だけでも十分すぎるほどの脅威になる。押井守のいうところの戦闘を演出というのがちょっとわかったような気がする。あと、導火線の手動点火のシークエンスが、『パトレイバー劇場版』の箱舟の強制パージみたいだなーと思った。