エグゼクティブ・デシジョン

 インテリを演じているカート・ラッセルと、すぐ死んじゃうスティーブン・セガールという強烈な違和感ばかりが印象に残っていたのだけれど、改めて見直すとハル・ベリー(ハリィ・ベリーとしてある)も出てたのね。
 飛行機をハイジャックというと、せいぜい客室とコクピットぐらいしかない空飛ぶ密室劇という印象しかないけれど、この映画だと貨物室やコンピューター室、果てはエレベーターや客室の天井裏まで使っているところがおもしろいね。ジャンボジェット機は、ジャンボだけあってでかくて広いのだという当たり前のことを思い出させてくれる。
 途中でセガールが死んじゃう以外は、ハイジャック犯一同を除けば人死にが出てた記憶はないのだけれど、壁に穴が空いたドサクサにまぎれてけっこう死んでるし、パイロットも死んでるのね。着陸できたのだから問答無用のハッピーエンドだと思い込んでいたらしい。
 コバンザメみたいに飛行中のジャンボジェット機の下に張りついて特殊部隊を送り込むというのはやっぱり変だし、『ジャガーノート』を見たあとだと爆弾解体もちょっと胡散臭いような気がするし、大体カート・ラッセルがセスナ機の訓練中だったというのもすごい伏線(伏線か?)なのだけれど、ジャンボジェット機の内部での移動とかやり取りがプロの特殊部隊っぽいのでなんとなく納得させられてしまう。コクピットを掌握しているテロリストに悟られないように追跡中の戦闘機にメッセージを送ったりとか、客室の天井裏でワイヤーで体を支えつつファイバースコープを挿して様子を窺うところに痺れるんじゃよねー。
 今となってはわざわざ毒ガス爆弾を積み込むまでもなく、ただジャンボジェット機をハイジャックするだけで戦略兵器になってしまうことが証明されてしまっているので、現実って世知辛いなーと思った。