ナポレオン 1

 二本組み240分を一気に見ると眩暈を起こしそうなので、今日は一本目だけ見ることにする。モノクロかつサイレントだから退屈するかなーと思って見たのだけれど、ぼくがナポレオンに関心があることを措いても、とてもおもしろく見れたのでビックリしますね。
 モノクロと言っても白黒だけじゃなくて、色セロファンで色をつけた影絵みたいに、シーンごとに色味が違っていておもしろい。たとえば室内はオレンジ系で、夜のシーンは青系だったり、戦闘中は赤かったりで単調ではない。あと、パリでジロンド派の追放を決議しているシーン(オレンジ)と、コルシカを脱出するナポレオンが小船で揺られているシーン(青)を交互に映し出すところとか、色味の違いが鮮烈ですごくいい。モノクロがハンデになっていなくて、逆にこんな手段があったのかと新鮮で楽しいね。
 ナポレオンが主役だけれど、ナポレオンを撮るということはフランス革命の大衆をも同時に撮ることになるので、声や音が入っていると煩くなってしまうところを、サイレントでうまく切り抜けている。大衆が喧々諤々の大論争を繰り広げていたり怒号が飛び交うシーンでも、音楽と役者の演技で雰囲気だけ伝えておいて、実際に重要なセリフは字幕で表示すればよいので、フランス革命や戦争の大混乱を撮っていても、雑音に悩まされずに映画に集中することが出来る。あと、音楽は完全に劇判として機能しているところもおもしろいね。ところどころで効果的にラ・マルセイエーズが挿入されていておもしろかった。
 240分でどこまでやるんじゃろかーと思って見始めたら、幼少のナポレオンがブリエンヌ幼年学校で雪合戦をしているシーンから始まるのでビックリしますね。そりゃ4時間もかかるわさ。1本目はツーロン攻略までなのだけれど、2本目はどこまで行くんじゃろかー。エジプト遠征いけるのかしら。
 御幼少のナポレオンが少女みたいで非常にかわいらしいのでよかった。ってゆうか、この映画に出てくる子供はみんな男女の区別が出来ない中性的なかわいらしさ。逆に老人になると、メイクのせいもあるだろうけれど、大体汚い。こっちも男女の区別なく汚なすぎて、ある意味中性的な汚さじゃろかー。かわいいナポレオンが大人になるとどうなるかというと、『F.S.S.』のログナーみたいになるのでビックリしますね。
 ナポレオンの栄達にはフランス革命の進行も欠かせないので、かなりカットしながらも一応流れは追っているみたい。ロベスピエールは、見た目がマンガそのままでビックリしますね。ちゃんと黒丸眼鏡と縞の服着てる。今にも「死刑!」って言いそう。
 コルシカでのナポレオンは、あんまりコルシカ自体に興味がないみたいで、祖国はフランスだと言っているし、パオリとの絡みもないので(パオリの部下に追われる)、やっぱりフランスの英雄として描かれているなーと思った。コルシカから脱出するときに三色旗を持ち出して、小船の帆の代わりにするところとか。あと、コルシカから脱出したナポレオン一家の乗る船と、ネルソンの乗ったイギリス海軍の船がすれ違うところがおもしろかった。史実にあるかどうかは知らないけれど、後の因縁を考えればおもしろすぎる。

 狂い咲きサンダーロード

 『特攻の拓』みたいな週刊少年マガジンとかに一昔前に載っていたような、ややファンタジー気味な暴走族同士の抗争を描いた映画なのかなーと思ってボンヤリ見ていたら、小林稔侍演じる右翼(右翼組織『スーパー右翼』所属)が君が代を歌いながら出て来たりして、なんかドンドン変な方向に捻じ曲がっていっておもしろいね。
 あれあれあれと見ているうちに、最後には暴走族連合+右翼+警察VSひとりマッドマックス(はぐれ暴走族。右手が鉤爪で、左手にショットガン)の銃撃戦になってしまったので腰を抜かす。なんじゃこりゃー。
 風景はうらびれた80年代の日本なのに、背景にちょっと変な小道具混ぜ込んだりとか、変なカメラのアングルとかで変な世界を作っていて楽しかった。でもこの映画の舞台がまったくもって日本であることは疑いようがなくて、廃工場とか寂れた街の風景にダイナマイトの爆発が派手に粉塵を巻き上げているのを見てると、なんか80年代の特撮番組を見てるような。右翼凱旋カーにマシンガンを取り付けて爆走してくるのをバズーカで迎え撃ってるあたりとか、周りの風景は明らかに日本なのに無法地帯で無国籍な雰囲気が『快傑ズバット』みたいで不思議だなーと思った。ナチスジャガーとか混じってても違和感なさそう。