第14話『黒薔薇の少年たち』

さあ、いよいよ黒薔薇編がやってまいりました。脇役たちの脇役っぷりを、イヤというほど堪能できてしまうからおそろしいぜ。

黒薔薇編の魅力といえば、様式美が極まりすぎちゃったところにあると言い切れる。根室記念館内部の振り切れちゃった書き割りっぷりや、脇役と主役のからみ→告白昇降室→「わかりました。あなたは世界を革命するしかないでしょう」→決闘ゲームという話の流れもそうだし、影絵芝居がウテナのツッコミで終わるところ、決闘ゲームでウテナが必ずトンボを切るところも、すべてがやりすぎなぐらいパターンを踏まえていて、寸分違わず同じことを繰り返せるアニメという映像形式ではパターンの繰り返しは素晴らしく映えるんじゃよね。進める物語を進めつつ、異常なまでに繰り返しにこだわる倒錯っぷりがたまんねー。

黒薔薇編のすごいところは、主役であるウテナには黒薔薇のデュエリストたちの闘う理由がサッパリわからないところじゃよねー。脇役が脇役であることに耐えられず主役になろうと襲いかかるが、主役にはそんな彼らの苦悩が一切わからない。

つまり、主役であるウテナは主役であるがゆえに脇役にまわり、脇役から主役になろうと足掻く脇役には一瞬だけスポットライトが当たるがけっして主役にはなれない。そんな変な話が13話も続いた上に、なかったことになるからおそろしいぜ。