紺野あきちか『フィニイ128のひみつ』 早川書房

たぶん好きな種類の小説だろうけど、発売当初のものすごい不評を見てとりあえず放置してたのを、今更読んだ。

押井守『アヴァロン』とかロバート・クーヴァー『ユニヴァーサル野球協会』とか、ゲームを題材にした小説が大好きすぎるので、この小説には逆らえないにゃー。

RPGロール・プレイング・ゲーム、つまり役割を演じるゲーム。現実世界で役割を演じつつ、架空世界でも役割を演じる。そこで現実世界とゲームの設定が微妙に重なりあっていることがこの小説のキモなのだけれど、短いのがもったいなさすぎる。もっとわけのわからない疑似科学ちっくな「ゲームの設定」と現実世界をゴチャまぜにしてダラダラ続けてたら、「解答がない」だなんてつまんない批判は少なかったと思う。謎の解答がなかったからではなく、謎が少なすぎてガッカリされたような気がする。

世の中には二種類の人間がいる。何事にも解答を求めたがる人間(解答を示すことで報酬を得る人間)と、何事にも解答を求めたいがテキトーな解答がなければそれはそれで満足する人間(なんか納得出来なくても、それでも地球は回っている)だ。