赤ちゃん泥棒

 赤ちゃんに恵まれない夫婦が「五つ子なら一人ぐらいくれよ」と勝手に持って行ってしまったことから始まるひと騒動。コーエン兄弟の映画だけあって、コメディタッチなのはわかるけれど、話よりも細部がいちいちイカレすぎていておもしろすぎる。ニコラス・ケイジの変な髪形とか、小動物に容赦しないマッドマックスな外見の情け無用マンハンターとか。そして泥の中から高笑いとともに登場するジョン・グッドマンが衝撃的すぎる。ってゆうか、ニコラス・ケイジとマンハンターが同じ入れ墨してるのはどうなったの? ねえ、ちょっと! ボーン!(マンハンター爆死)
 ニコラス・ケイジジョン・グッドマンの格闘シーンが、『キル・ビル』のザ・ブライドとエル・ドライヴァーの格闘シーンみたいで好き。安くて狭い家で格闘すると、手が壁にめり込んだり、振り上げた拳を天井で擦って痛い目を見るので気をつけようと思った。
 赤ちゃん誘拐したところから始まって、刑務所仲間が犯罪に巻き込みに来るわ、仕事をクビになるわ、マンハンターに追いかけられるわ、ものすごい大騒動に発展してしまうのでいったいどうやってシメるんじゃろかと思いながら見てたら、絵に描いたようなハッピーエンドではないけれど、少なくとも現状復帰程度には事が収まるのでビックリしますね。コーエン兄弟の映画にしては暖かみのある、わりと優しい終わり方だったのでまたビックリ。
 冒頭の、何度も刑務所に入る→出て強盗を繰り返すニコラス・ケイジが好き。写真係のホリー・ハンターにちょっかいを出してプロポーズするまでの流れがすごくいい。ホリー・ハンターって『オー・ブラザー』にも出てたのね。あっちでは子沢山だったけれど、役柄はあんまり変わらない。