ミスター・スポックを探せ

 ロミュランに行ったスポック(バルカンの大使)を追う話だけれど、『クリンゴン帝国の崩壊』の出てきたガウロン(直接は出てこない)やヤー大尉の忘れ形見とか出てきて、長期シリーズならではの広がりのある話で楽しいね。
 ゲェー! ピカード艦長ってスポックのお父さんと合体したことがあったのか。謎のガス状生物やボーグに手篭めにされ、カーデシア人にはすごいプレイで激しく責められ、Qの獣のような視線に晒されて玩具にされるピカードだけに、バルカン人と合体程度は子供の御遊戯ですか? さすがボーイズラブの精神を形にした総受け艦長。カーク船長といえど数百年後の続編でこんな扱いをうけるとはよもや思うまい。うっかりエンタープライズの艦長になると恐ろしいにゃー。
 そういえばバルカン人式ピースとか、バルカン・ピンチって初めて見るような気がする。大好きなTNGに足りなかったのはバルカン人分だったのか。要らないけど。
 スポックとデータ、スポックとセーラの関係がおもしろいね。スポックは父と合体した経験のあるピカードを「人間には珍しく論理的であり、バルカン人のようだ」と評し、データはピカード艦長を自分が人間に近づくための手本だという。絡みは少なかったけれど、人間とバルカンの血を半分ずつ引いているスポックと、人間とロミュランの血を半分ずつ引いているセーラの対照もおもしろい。バルカン的に生きることを選んで「後悔していない」と答えるスポックに、データが「後悔は人間の言葉だ」と指摘されるところが好き。
 それにしてもバルカンの重鎮が勝手にロミュランに潜入するのは問題ありまくりだと思う。論理的ではない。