浮遊機械都市ボーグ

 名高いロキュータス事件の話をはじめて見た。作り直したら映画としても通用しそうなおもしろさってゆうか、なんでTNGの映画は良質なテレビ前後編に勝てませんか?
 なんかよくわかんないけどボーグが連邦のシマにやってきたらしくてギャワー。迫り来るボーグへの対策一辺倒の話かと思いきや、エンタープライズにやってきたボーグ専門家の新進気鋭の仕官であるシェルビー少佐とライカーの鍔迫り合いがおもしろいね。
 昇進を拒みエンタープライズに残り続けるライカーと、ライカーの後を襲ってキャリアの足がかりにしようという野心的な仕官の静かな戦い。ライカーに黙って独断専行したり、ライカーの頭越しにピカードに談判に行く若い士官に、昔のライカーの姿が重なってすごくいい。確かライカーって昇進のために付き合ってたカウンセラーを振ったという過去があったはずじゃよねー。当時のライカーなら喜んで昇進してメルボルンの艦長になっただろうに、今のライカーはピカード艦長の下で副長としてエンタープライズに残る心地よさを棄てられない。つまり、ライカーはムチムチボインなカウンセラーよりも、ハゲ中年に夢中ってことじゃろかー。そしてハゲ中年を巡って髭青年と小娘が恋の鞘当をする、こんなスタートレック見たことねー! ピカードがライカーのキャリアを鑑みて昇進を受けるように忠告するところもおもしろいね。まるで将来有望な若い愛人に向かって「こんなオバサンに夢中になっちゃダメよ」と悲しげに呟く熟女のようだ。
 反発するライカーとシェルビーが協力するきっかけになるのが、ボーグによるピカード艦長拉致事件というのがうまいなー。ボーグに拉致されロキュータスにされたピカード艦長を救うために、ピカードを尊敬し愛しているが故に反発しあっていた二人が結束する。丸くなったと言われていたライカーだけれど、ピカードのためなら反則みたいな作戦だって実行してしまうところがすごくいい。円盤部と戦闘ブロックの切り離しどころか、さらにシャトルまで使った見事で無謀な奪還作戦がおもしろいね。
 うわー うわー ボーグおっかねー。やべー 俺も早く同化してもらわなきゃ…。この頃のボーグは無敵だなー。フェイザーもすぐ無効化してしまうし、地球圏の連邦艦隊もあっという間に殲滅してしまう。連邦艦隊はロキュータのピカード・マニューバにやられたんじゃろかー。ボーグキューブでピカード・マニューバってすごそうだ。
 連邦艦隊を壊滅に追い込んで地球圏を危機に陥れたのがロキュータスならば、ボーグ撃退の鍵になるのもロキュータスであったというところが好き。ボーグに支配されながらも必死に撃退のヒントを伝えようとするピカードと、それを汲み取るデータのやり取りがすごくいい。
 ガイナンはおいしいなー。ボーグとの決戦前にピカードと会話して「自分たちの種族が滅びなかったように、人類も滅びない」と励ましたり、ピカードを失って意気消沈しているライカーに早くピカードのことは忘れろと忠告する。かつてボーグに滅ぼされた種族の生き残りであるガイナンをうまく使ってる。
 ウェスリーが完全に脇役扱いになっていて安心した。ヤツが主役級の扱いになるとブリッジ仕官が間抜けになるのでイヤだけれど、脇役として高い知能を生かした技術的なアドバイスをするだけなら安心して見ていられる。みんなでポーカーをやってるときにライカーのはったりに騙されたりとか、知能は高いがそれ以外は年齢相応の扱いをされていて、これぐらいから少しずつ人間的に成長していけば反感買わなかっただろうになーとちょっと気の毒に。でもそれだとデータを被っちゃうからダメか。