トーキング・ヘッド

 全編屋内で撮影されており、なんか舞台風のセットが組まれて舞台風の演出が多いし、映画(アニメ)を製作しながら映画(アニメ)を解体していくというコンセプトが『御先祖様万々歳!』みたい。明朗映画崩壊喜劇なのか?
 舞台風だけれど、舞台を撮影しただけだとこうはならないような気もする。ってゆうか、『御先祖様万々歳!』の舞台風演出を実写に持ち込んだ、アニメちっく舞台風実写映画だと思った。なんだかわかんないけど、安っぽさが味になっていておもしろいね。
 失踪した監督に代わって、流れ演出の「私」が映画制作を続行するという筋書きがおもしろいね。残ったスタッフたちの証言から前任者が作り出そうとした映画がなんなのかを考えていくところは、作中でも言われているように推理劇みたいでおもしろい。不在の監督の意図を、与えられた材料から推理して組み立てなおしていく「私」は探偵なんじゃろか。
 声優が実写映画にキャストされていると、なんかすごく違和感がある。声は知ってるのに、顔は知らないおっさんやおばさんであり、アテレコしてるみたい。この違和感が、なんかわけのわからない不気味な『トーキング・ヘッド』の世界にはピッタリなのかも。
 そこかしこに出てくるのに出演者は誰も注意を払わない兵藤まこは一体なんなんじゃろかと思っていたら、キャスト表に「お客さん」としてクレジットされていて、納得できたようなできないような。おもしろかったからいいか。