ダリル・ハンナのジャイアント・ウーマン

 『スプラッシュ』のかわいい人魚役と、『キル・ビル』の独眼流看護婦の間を埋めるミッシングリンクなんじゃろかー。あ、そういえば『ブレードランナー』にも出てたっけ。
 ファック野郎な父親とファック野郎な旦那に抑圧される、夢見がちで弱い役がはまっていておもしろいね。後半でかくなってブチ切れてからの落差もおもしろいけど、大きくて気弱なダリル・ハンナはけっこう好きかも。「ハリ〜」と情けない声で夫を呼ぶ様子がたまらん。
 UFOの謎光線でダリル・ハンナは巨大化するけど、特撮がヘボいので巨大化してるように見えないところがおもしろかった。ダリル・ハンナ演じるナンシーの趣味はドールハウスであり、ダリル・ハンナがチャチなミニチュアセットの間を歩き回る様子は、ナンシーが巨大化したというよりも世界中が彼女のドールハウスになってしまったように見える。リアルな特撮というよりも、ナンシーの視点よりだと思ってみると、砂漠のセットも味わい深い。
 巨大化すると心臓への負担が大きくなる(キリン並みの高血圧)という、どうでもいい考証がおもしろかった。そのくせ素手で建物破壊したりするし。
 保安官代理の女の子が挙動不審でけっこうかわいかった。猫背で目をひん剥くような表情が印象的。
 『アタック・オブ・ザ・ジャイアント・ウーマン』というロジャー・コーマン監督の超B級映画(セクシー巨大女がキャットファイトしたり、巨大乳の間に挟んでもらったりしてウハウハやがなーという映画らしい)が別にあるのね。この映画が妙に男へのあてつけというかフェミニズムっぽい雰囲気があるのは、本家『ジャイアント・ウーマン』を踏まえてのことだったのか。