カナディアン・エクスプレス

 ジーン・ハックマンが列車の屋根の上で立ち回りしているシーンだけは知っているけれど、どんな経緯でそんなことになっちゃったのかは全然知らなかったのでおもしろく見れた。
 動く列車に舞台を移すまでの経緯がおもしろすぎる。ロサンゼルスで大物マフィアの犯罪の現場を目撃した女が身の危険を感じてカナダの山奥に逃げ込んでしまい、その女に裁判で証言させるために、検事であるジーン・ハックマンがカナダまで出向くのだけれど、ヘリにマシンガンを装備したマフィアの手下に襲われてギャワー。最速最短でロサンゼルスに戻れなくて、仕方なく鉄道でバンクーバーまで移動する羽目になるのね。けっこう強引な展開で列車に乗る羽目になるのでビックリしたけれど、あんまり変なかんじはしない。列車はド田舎を走っているし、無線は壊されているし、どうやら情報は漏れているみたいだし、途中の駅で待ち伏せされているしで、ハックマンたちは列車を降りるに降りられない。手下たちも騒ぎを起こすわけには行かないから地道に炙りだすしかない。走る列車という密室の中の静かな駆け引きがうまいなー。
 マフィアの手下たちは、ハックマンの顔は知っていても、証人の女の顔は知らないところがポイントじゃろか。ハックマンを追い回して一緒にいる女を特定しようとする手下たちと、列車の構造を上手く利用して女を隠したり自分も隠れたりして煙に巻くジーン・ハックマンの丁々発止のやり取りが楽しいね。衆人環視のラウンジで取引を持ちかける手下に、あくまで白を切りとおすハックマンがすごくいい。
 最後に列車の上での立ち回りのトンネルオチは、PCエンジン定吉七番 秀吉の黄金』を思い出すと懐かしすぎる。わけもわからず腕立て伏せをしているだけで倒せてしまうことにビックリしたあのころ。