大脱走

 子供のころ見た記憶だと、ひたすらトンネル掘ってるだけだったような気がしていたのだけれど、今見直すとトンネル掘って脱走してからがけっこう長いのでビックリしますね。
 捕虜収容所に到着した途端、脱走の算段をはじめる捕虜たち(実際に脱走しようとする者もいる)にビックリしていたら、ここに到着した捕虜は脱走の常習犯ばかりであり、バラバラにしておくと面倒だから集めて厳しく監視することにしたらしい。収容所所長の「脱走は許さん」に対して捕虜のリーダー格が「脱走は全将校の義務だ」と答えるところがおもしろかった。なるほど、脱走も戦争の形のひとつなのね。
 最初から脱走するぞと言っている捕虜に対して、収容所側はわりと寛容ってゆうか紳士的であり、ドイツ的生真面目さでルールに則って監視しているかんじ。個人的に脱走を試みて捕まっても独房に入れられるだけだし、三本掘ったトンネルの一本が見つかったら身包み剥ぐような勢いで徹底的に捜索されるかと思ってたらそうでもないし、唯一収容所内で銃殺されたアイブスはおかしくなってフェンスに近づきすぎたからだし。捕虜の扱いには厳しいルールがあるんじゃろかー。それとも欧米の敵国の捕虜だから紳士的に扱ってるのかな? 理不尽な虐待が全然ないところとか不思議な気持ちになった。なんか、ちょっと厳し目の学生寮で学生監と悪ガキどもが争っているような雰囲気。
 反対に、脱走してからは戦時下というのが納得できるような厳しい対応。問答無用で射殺ということはないけれど、さすがにそんなにホイホイとは逃がしてくれない。収容所が空軍管轄なのに対して、捕虜探索にはゲシュタポが当たっているのもあるのかしらん。リーダーであるバートレット以下、厄介な脱走常習犯がまとめられて野原で銃殺されるところは、ひどいなーと思いつつも納得気味。軍服着てないから、確か捕虜として扱う必要はないんじゃよね。
 すごい勢いでトンネルを掘っていたダニーが、じつは閉所恐怖症だったところがおもしろかった。落盤にもめげずに掘っていたのは、恐怖心を希望にかえていたんじゃろか。
 ゲームになるらしいけれど、真面目に作ったら滅茶苦茶難易度が高くなりそうでありシバムラティックバランス。レジスタンスに出会うフラグを立てるにはいったいどうすればいいんじゃろかー。やっぱり危険を承知でドイツ将校に張りついて機会を窺うと低確率で起きるイベントがポイントか?