39話『将軍、死す』

 いいぞ ベイベー!
 逃げるのは谷三十郎だ!
 逃げないのは良く訓練された近藤周平だ!
 ホント新選組は地獄だぜ! フゥハハハーハァー

 長州征伐が失敗したり、将軍が死んだりしているのに、原田の結婚祝いで試衛館仲間が集まって楽しそうで新選組は相変わらずだなあと思って見ていたら、周平が脱走騒ぎに巻き込まれてギャワー。でも源さんや平助の懇願により切腹は免れた模様。河合切腹のときにみんなが「近藤先生さえいてくれたら」と願っていた近藤勇の局長としての重みがようやくわかった。なるほど、これなら河合も生き残ったかも。土方を永倉たちのところにとどめておいたのもポイントじゃろかー。土方が永倉との関係を気にして遠慮しているのを、永倉が土方を温かく迎えているところがすごくいい。仕事とプライベートは別ってこと?
 浅野薫は池田屋事件のころからなんとなくイヤな人間だなあとは思っていたけれど、なし崩し的に周平を巻き込んでしまうところが悪すぎてビックリしますね。いわゆる確信犯としての悪ではなく、小市民的な悪じゃろかー。「浅野薫、君こそ真の邪悪ダ。君には敵意もナケレバ悪気もナイシ、誰にも迷惑ナンカかけてナイと思っテイル。自分ヲ被害者だと思っているし、他人に無関心のクセに、誰カガイツカ自分を助けてクレルト望ンデイル。だがソレコソ悪より悪い「最悪」と呼バレルものダ。他人を不幸に巻き込んで道づれにスル『真の邪悪ダ』」 サンダー・マックイイーン先生を越えたじゃろか?
 脱走した谷三十郎は斬ったのに、浅野薫は見逃した斉藤が少し謎。谷を斬るときも「屯所に帰って切腹しろ」と薦めているし、微妙な心境の変化がおもしろいね。よくよく考えてみたら、賭場の用心棒のころから人間を斬るのが好きだったわけじゃないし。心の乱れが謎の木彫りの出来にも影響を?
 周平はみんなに愛されているなー。局長の養子という複雑な立場の歪みを一身に背負って、力足らずを自覚しながら健気にがんばるところがいい。源さんの父性本能に全弾命中を確認。周平さんにおかれましては「やってやれないことはない、やらずにできれば超ラッキー」ぐらいの気構えでがんばっていただきたい。無理か。


 沖田はいよいよテンパって来たなあ。いつまで経っても成長しない周平と、もう時間のない沖田を絡ませるのはうまいなー。地道にがんばる周平に厳しく当たる沖田という図は、沖田の焦燥を浮かび上がらせている。
 伊東が岩倉に接触しているところがおもしろいね。岩倉曰く「胡散臭いやつ」というのは納得できすぎる。ガチガチの尊王派で理想に殉じ新選組を混乱させるために入隊したと考えるよりも、行き詰った新選組を早々に見限って勝ち組に移籍すると考えたほうがあの胡散臭さにはピッタリ来る。行きがけの駄賃に新選組を壊滅させて薩長への手土産に、と賢いおつむで考えたのが運の尽きだったんじゃろかー。
 あと、一ツ橋慶喜は宇宙人みたいだと思った。超なで肩で頭でかいからかしら? 歌が聞こえてくると頭がプルプル震えて破裂するに違いない(『マーズアタック!』)。