12巻

 エンジェルハイロウが起動したり、ウッソが幻覚に踊ったり、カテジナさんが「とうにおかしくなっている」と言ったり、タシロが「わたしは、正気だよ」と言ったりしてギャワー。もうなにがなんだか。
 エンジェルハイロウといっても、客観的には人を眠らせるだけなのでいまいち恐ろしさがわからないのだけれど(「眠りの森の美女ではない」というだけで十分すぎるほどイヤではあるが)、『幻覚に踊るウッソ』では、実際にエンジェルハイロウの波動に晒される人間の意識が垣間見えるのでおそろしすぎる。記憶や深層意識を穿り返されてのべつまくなしに刺激されて、ウッソが狂わずに済んだのはまだ試験段階だからじゃろかー。こんなイヤな総集編はもう懲り懲りだーってゆうか、そもそも総集編か?
 タシロが造反するのは、話の流れ的にものすごく納得できる。ピピニーデンから体で学んだ「目の前の敵が強い、下がるしかない」作戦でエンジェルハイロウに取りついたタシロは、エンジェルハイロウのキールームでサイコウェーブを出していたマリアを連れ出す。タシロが暴露するエンジェルハイロウの真の目的に驚きを隠せないマリアは、本当になにも知らないシンボルだったのだなあと改めて実感。エンジェルハイロウが誰も彼をも腐った赤子にしてしまう兵器であることはピピニーデンでさえ知っていたのに、女王であるマリアだけは知らされていなかった。そしてこの期に及んでも「タシロの妄想です」と断言するカガチはすごすぎる。カガチの強さは、自分の言葉を全部信じているからなのかもしれない。エンジェルハイロウはヤバイし、カガチはもっとヤバイというタシロの危機感自体は外れではないのだけれど、マリアを連れ出したことで安心してシャクティを残してきてしまうところが詰めが甘いんじゃよねー。
 シャクティの要求は相変わらずおかしいですよ、ズブロフさん。シンボルになる代わりに艦隊を引いてエンジェルハイロウを解体しろって、そんな要求をクロノクルが聞くわけないことぐらい経験上わかりそうなものだけれど、病気だしなあ。シャクティって、マリアと同じようにカガチに騙されながら、エンジェルハイロウのキールームに入るところがクライマックスなんじゃよねー。
 ウッソたちの活躍やエンジェルハイロウの影響でハッスルしているムバラク将軍は「特攻精神で行け!」とか全軍の司令のくせに無茶なことを言っていた。隣で「えー」という顔をしているハンゲルグはまだまともだなーと思ってたら、偽ジャハナム連邦軍の増援を待とうというのも聞かずに、エンジェルハイロウへの攻撃を指示する。なんか運気がリガ・ミリティアよりだかららしい。
 ファラ轟沈。もうこの辺の女性原理はサッパリわからないんじゃよー。強いてファラの敗因を挙げるなら、オリファー忍法魔界転生じゃろか。マーベットの腹にいるオリファーがファラの母性本能に直撃を確認。メッチェも守った人にここまで想われたなら本望だろう。
 マリアを連れ出してザンスカール本国に逃げようとしていたタシロは、ウッソに追い詰められる。顔もセリフもすごいことになっているタシロ(錯乱して先に死んだファラの姿を探している)。そしてタシロの人質になることを潔しとしないマリアは「現にエンジェルハイロウはそこにあるのだ。行け、ウッソ少年よ。わたしの屍を踏み越えて! わたしを宇宙の晒し者にする気か。ウッソ少年!」と叱咤しタシロに射殺される。タシロもビームサーベルでジュー。マリアは全部自分のせいだと言っていたけれど、あながち間違いでもないかも。他人のために何かをしようとすると利用されてしまう人、強大な力を持ってはいるが、その力は他人に利用されるしか術のない人。マリアの悲劇はそこにあったんじゃろか。
 タシロの死にうろたえるクロノクルを見て失望し始めるカテジナ。「そうだよ。そそっかしさではなく、真の強さをわたしに見せて欲しいのよ」 他人に勝手に期待して勝手に幻滅するのは本当に身勝手なことだけれど、まあよくあることじゃよねー。その後のカテジナさんの豹変はよくあることではないけれど。いよいよカテジナact.3発動なんじゃよ。
 次回、ネネカ隊の楽しみな肉体から放射されるフェロモンにウッソはうっとりなんじゃよ? こんな作戦が許可されるからおそろしいぜ戦争末期。

  • シュラク隊残高
    • + なし
    • − なし
    • 残高 コニー、ユカ、フラニー、ミリエラ 計4名