女囚701号 さそり

 オープニングクレジットでいきなり『怨み節』が流れるのでもう辛抱たまらん。
 子供のころ見たうろ覚えの記憶では、梶芽衣子が片乳放り出して包丁を振り回しているシーンが強烈に焼きついているのだけれど、このシーンはエンディングじゃなくて梶芽衣子=松島ナミが刑務所に入るきっかけだったのね。うろ覚えすぎる。
 梶芽衣子がほとんどしゃべらないところがすごくいいなー。かすかに眉をひそめ、黒髪の隙間から凄まじい眼力で睨みつける。まさに怨みを呑んでじっと復讐の機会を待ち続ける女の精神を形にしたようであり、最早セリフなんて要らないんじゃよねー。彼女の心情は『怨み節』の歌詞に集約されているのだから。あと、梶芽衣子は特別なメイクをしているようには見えないのにすごく綺麗。やっぱり目に力があると女優は輝くんじゃよねー。他の女優のメイクがケバすぎるのと汚すぎるのもあるのだろうけれど。
 暴動が起きた隙に刑務所を脱出し、自分を犯したヤクザと、自分を利用した刑事に復讐を果たしに行くナミのスタイルがかっこよすぎる。今までの薄汚い女囚服を脱ぎ捨て、黒いコートに黒い帽子、『怨み節』がバックに流れる中、あるいはザクザクと刺し殺し、あるいは電話のコードで吊るし、ついにかつて愛し自分を裏切った刑事も血祭りに上げる。ナミは相手に向かって恨み言のひとつも漏らさず、ひたすら無言なところがいいなー。刑務所の中でナミを殺すように唆され返り討ちになった女囚に向かって、ナミがポツリと漏らした「騙されるのは女の罪」という言葉は、自分自身にも向けられているんじゃろかー。
 ヌードとかレズシーンとかあるけれど、ちっともイヤらしくないし、むしろこわい。なんか『吉原炎上』を思い出した。男が欲しいんだよゥ!
 ナミに対して行われる凄惨なリンチの数々は見ていて痛々しいのだけれど、一見地味だがものすごくイヤなのは、熱々味噌汁をかけられることだと思った。わかめとか入っているのが生々しくてイヤなんじゃよねー。