サイン

 さっき一回感想書いて送信したらサーバーエラーで消えたのでションボリ。
 ものすごく評判の悪い一品ですが、あれれ? なんだかとってもおもしろいですよ? むしろ世間の評判と逆に『シックス・センス』→『アンブレイカブル』→『サイン』とどんどん良くなっているような気がするのは、いい加減悪い評判が出揃って覚悟してから見てるからじゃろかー。
 散々宇宙人がどうのこうのと言われているので、てっきり最後のオチにショボイ宇宙人を持ってくるのかと思ってたら、けっこう最初のほうから宇宙人が画面に出てくるのでビックリしますね。ブラジルで撮影されたという宇宙人のビデオが最高に胡散臭くてすごく好き。そしてこの胡散臭さを最後まで微塵も失わずに引っ張るところがすごすぎる。日本だったら河童で代替出来そうなぐらい胡散臭い。
 妻の事故死をきっかけに信仰を失った牧師が奇蹟を経験して信仰を取り戻すまでの物語を、普通に丁寧にこのまま描いてもそこそこ見れる文芸映画になりそうなものなのに、敢えて胡散臭い宇宙人を絡めてしまうところがすごく好き。メル・ギブソンをはじめとするヘス一家の演技は重厚であり、妻あるいは母親を失って生き方を見失っている家族を好演しているのに、一方で信じられないほど胡散臭い宇宙人が堂々と闊歩している。二つの要素が凄まじく噛み合っていないことによる微妙な空気が堪らねーなー。妻の最期の言葉に啓示を受けて、弟に「バットをフルスイングするんだ!」と命じて宇宙人を撃退するシーンは、この微妙な噛み合わない空気が醸し出すおもしろさの頂点じゃろか? もう感動すればいいのか、呆れればいいのか、笑えばいいのか、怒ればいいのか、サッパリわからないんじゃよー!!
 登場人物たちの下らない小話とかエピソードが好き。スケボー少年から傍若無人に振舞われて怒り狂った老婆がスケボー売り場に唾を吐きまくる話とか、好きな子にキスしようとして一瞬躊躇っているとその子がゲロを吐いてトラウマになっただとか、懺悔する女の子が「豚」は汚い言葉に入るのかしらと尋ねるところとか、宇宙人特別番組を見ている老人が「この番組を放映している間はコーラのCMしか流れないから、宇宙人はコーラ会社の陰謀なのじゃよー!」と怒り出すところとか、大好き。『スタンド・バイ・ミー』のゴーディが話す下らない作り話(ブルーベリーパイを山ほど食べてゲロを吐くと、観客全員釣られゲロ)みたい。シャマラン監督は是非スティーヴン・キングの小説を映画化するべきなんじゃよ。それもなるべく下らないやつを。