突入せよ! あさま山荘事件

 生まれる前の事件だし、時々テレビで流れる鉄球破壊のところしか知らないんじゃよねーと思いながら見てみた。2時間強あるので山荘立て篭もりに至るまでの経緯とか説明してくれるんじゃろかーと思ってたら、一切ないのでビックリしますね。連合赤軍ってなんやのん? あとで調べてみよう。あ、はてなのキーワードであらましはわかるみたい。こうゆう便利なキーワードがもっと登録されればいいのに。
 事件を俯瞰的に眺めることなく、あさま山荘を巡って上へ下への大騒ぎになる警察組織内部の主導権争いや混乱ばかり描いているだけなのに、ものすごくおもしろいのでビックリしますね。たくさん出てくる登場人物は特にテロップによる説明もないのに入れ替わり立ち代りあらわれてなにがなんだかわからないのだけれど(警察官ばかりだから格好も似てるし、昔の事件だから服装が地味だし)、そうゆう現場の混乱ぶりをつぶさに追っているところがおもしろい。電線を切ったか送電を切ったかみたいな些細なエピソードを積み上げることで、現場の混乱ぶりがよくわかる。事件に関わった人たち一人一人を無造作に群集のひとりとして置くことがこの映画のおもしろさなんじゃろか。「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ!」っていうけれど、ここまで混乱したら現場も会議室もないと思った。
 長野県警がひたすらダメで、警視庁がかっこいいのかと思ったら、警視庁から派遣された者同士でも争いがあったりして、もうなにがなにやら。佐々さんはちょっとかっこよすぎるんじゃなかろうかと思わないでもないけれど、こんな混乱したところに中心で引っ張っていく人がいないと、フランス革命テルミドールの反動を描いた『敗北者の運命』みたいにわやくちゃになりそう。
 スタッフロールを最後まで見ると、だれがどの役を演じていたか分かるような映像が流れてよかった。武田真治とか篠原涼子ってどこに出てたのかサッパリわからなかったけれど、ここを見てやっとわかった。あと、街田しおんが昔メガネにニットの帽子で非常に地味でよかった。
 警視庁と所轄の対立とか、長野県警内部の雰囲気とか、当時の時代背景とか、押井守の警察の描き方を思い出さずにはいられない。ってゆうか、ケルベロス・サーガってこの時代の雰囲気そのまんまだったんだなーとあらためて思った。あんな事件、首都警の特機隊に任せればすぐ解決なんじゃよー。鏖殺の雄叫びをあげ戦いの犬を野にはなつんじゃよー。現場指揮権を巡って長野県警がうるさく言ってきたら「銃をもって立ち塞がるものがあらば、これを撃て」で黙らせる。そしてプロテクト・ギアを装着した特機隊突入隊員がMG34で犯人皆殺し(後藤田長官の意図が台無し)。あと、助けた管理人の奥さんがセクトのメンバーで佐々さんが撃たれて死ぬ。