沙耶の唄

 散々グロいと脅されていたので『肢体を洗う』みたいにグロいんじゃろかーと思って震えながらやってみたら、大丈夫だった。これは耐性のあるほうのグロさ。心霊系のホラーゲーム(『トワイライトシンドローム』『夕闇通り探検隊』)は昼間でも電灯つけてないとこわくてできないのだけれど、モンスター系のホラーゲーム(『スプラッターハウス』『邪聖剣ネクロマンサー』)のグロさなので、全然平気。ってゆうか、グロ画像ぼやかしたりできるけど、あんまり変わんない。『肢体を洗う』みたいな豪快なモザイクだとわけわからんからかしら。
 選択肢が思ってたのよりも多くてビックリしますね。一箇所だけだと思ってたら、二箇所もあった。どちらも非常に重要な、まさに運命の選択としか言いようのない場所で出る選択肢なので、この数は納得が出来すぎる。選択した結果としての三つのエンディングも、どれも納得できる形でよかった。ハッピーとかバッドとかトゥルーとかノーマルとかで区別できるわけじゃないけれど、その選択肢を選んだら当然こうなるよなー。ゲーム的にはストレートすぎてよくないかもしれないけれど、選択させるということ自体に重きを置いていて好き。ハーレムエンドとかあってもよかったかも知れないけれど、ものすごくイヤなハーレムだろうなーと思った。「取り戻したい」を選んだ結果の、こじんまりとした終わり方が好き。
 アルス・マグナとかヴォイニッチ手稿とか出しておいて、けっきょくやっぱりクトゥルー神話なのか。最近はストレートに出し過ぎるとウザく思うこともあるのだけれど、これぐらいなら鼻につかなくていいかも。
 沙耶はかわいいなー。食べてるものを隠す仕草がかわいい。シェイクスピアでさえ愛を貫くためには心中として始末しなければならなかったのに、今時愛を真面目にやろうとしたら、これぐらい大仕掛けを持って来ないと無理なんじゃろかー。ぼくが小馬鹿にしながら心の中では見たいと願ってやまない『世界の中心で、愛をさけぶ』というなりふり構わない題名の物語は、本来こうゆうことなのかしらん。さらに追求すると蜈蚣Melibe的愛の世界が開けているのだろうけれど、そこまでいくとちょっといろいろ難しい。
 郁紀の状態は、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『楽園の乳』みたいなかんじじゃろか。沙耶との関係が『愛はさだめ、さだめは死』の謎生物みたいだったらイヤだなーと思った。