28話『そして、池田屋へ』

 冒頭会議の場面、山南が珍しく声を荒げたのでビックリしますね。イケイケ一辺倒な土方に対して的を射た牽制であり、万が一の事態や後の処理まで考える山南とセットで新選組という組織はうまく機能するみたい。土方・山南の仲良し陰謀コンビはまだまだこの調子でいけそうな雰囲気。穏健派の山南が主流派土方に疎んぜられて罰ゲーム的に屯所警護というよりも、古高奪還その他の予期せぬ事態に備えてあらゆる場面に対処できそうな山南を屯所に置いて後顧の憂いを断ち、探索に全力を傾けるというのは納得できる。やっぱり、山南が孤立するのは伊東甲子太郎の策謀があってのことなんじゃろかー。それにしても近藤さんは、まだなんか鬼になってないような。なんで八木さんに意見を求めるんじゃろかー。もしやギャルゲー的主人公としての自覚に目覚めてしまって好感度チェックが止められない体に? よし、バッチリいい印象を与えたみたいだぞ!
 トリビア観柳斎は、態度はいちいちむかつくのじゃが、言ってることは間違っていないんじゃよねー。だからより一層むかつくんじゃが。土方と山南が焼き討ちの陰謀の話をしているときに、状況証拠から古高奪還を企む浪士の会合を予測するところとか見てると、やつは土方・山南に対する新見錦的ポジションなんじゃろかーとか思った。池田屋でもビビって戦わないんじゃないかと思ったら、ちゃんと自分も刀持ってそれなりに戦ってるし、作戦終了後の報告も迅速だし、軍師面するだけの働きはしている。でもウザいのでさっさと死ぬといいと思った。
 池田屋事件を巡る会津と長州、それぞれの思惑がおもしろいね。騒動を起こすほうも抑えるほうも、どちらも上のほうでは既に下を見限っている。池田屋に集まった浪士は味方から見捨てられた武闘派の跳ね返りであり、御公儀への忠義を武によってしか表現できない番犬である新選組(ゆえに疎んじられる運命にある)が彼らと激突するのは、もはや必然なのでした。全警察から疎んじられている特機隊の武闘派である巽が、党から除名された軍事委員のヤケクソなハイジャック事件に当たって部下に「誰にも渡すな。……いいか、誰にもだ」押井守原作/藤原カムイ作画『犬狼伝説』 角川書店 百六十九頁より抜粋と命じるのと状況的には同じなのかにゃー。近藤たちにその自覚はないとしても。
 あ、亀弥太死んじゃった。つい先々週ぐらいまで近藤と甘味処で話してたのに、時が経つのって早いよねー。沖田吐血や平助負傷は、まあ、予定通りということで。でも沖田吐血時の変なCG処理はなんだったんじゃろかー。幻覚で沖田みつが出てくる→総司が「姉さん。助けてよ、姉さん」→総司、階段落ちでグチャという流れになったらだったらどうしようかと思った。