25話『新選組誕生』

 芹沢鴨には、暗殺されるとわかっていても、暗殺されねばならんときがあるんですかー。
 冒頭から芹沢死亡フラグがものすごい勢いで立ち続けるのでビックリしますね。一緒の墓に入れだの、田舎で寺子屋でも開くだの、これで死なないほうがおかしい。先週、新見錦が詰め腹を切らされた時点で完全にダメになった芹沢鴨。「わ……わいはあかん…… だめな鴨や……」 ついに浪士組を逃げ出すのか?
 しかし、カーモちゃんはやはりカーモちゃんであった。土方・山南の策動を察知しつつ、それでも近藤のそばから離れないのは、近藤の努力が変な形で実を結び、すでにカーモちゃん攻略が完了していたからなんじゃろかー。「鬼になれよ、近藤。鬼になって俺を食っちまえよ」というカーモちゃんから近藤への告白。優柔不断なギャルゲーの主人公のような近藤への、意地っ張りで素直になれないカーモちゃんの最後で、だから切ない告白(お・ね・が・い)。
 そして、暗殺劇は幕を開ける。暗殺を策動するもの(土方・山南)、暗殺を黙認するもの(近藤)、そして暗殺される当人・芹沢鴨すら承知の上で。やっぱり、芹沢は強いな。存外に強いな。一歩も引かず、しかし死に際はやはり芹沢鴨だった。意外だったのはお梅の死に様かにゃー。シーマ様みたいにやさぐれきっているのかと思ったら、同じようにやさぐれきった芹沢鴨と心中するだなんて! やっぱりおもしろいなー。黒いと見えた山南の甘さや、義理の斉藤、永倉外し、平助と野口などなど、今後の綻びを窺わせる動きがいろいろあって楽しいね。
 ねえ、落ち着いて考えて御覧よ。今、近藤一派が何をすべきなのか。それぞれの持ち場で何かしなくちゃ、何かしよう、その結果が状況をここまで悪化させた、そうは思わないか? 誰もがまさかと思い、同時にもしやと疑いを否定できない、あの新見錦切腹以来ね。舞台はミスキャストでいっぱい。だれもその役を望んじゃいないのに(原田は除く)。素敵な話じゃないか、これが近藤たちの士道ってわけさ。芹沢は水戸天狗党を壊滅させたときと同じルールで、今度は近藤たちがどんな尽忠報国の志を見せるのか、それを見たがっているのかも知れんな。
 来週からはトリビアが参加するよ! もう死相が出てたけど。