中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』 創元SF文庫
●中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』 創元SF文庫
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「ロマンティック時間SF傑作選」とゆうくくりもあるけれど、解説にもあるように、やはり時間SFはロマンティックが止まらなすぎるとわかった。時間を跳ぶだなんて!素晴らしく無茶苦茶な無理が、恋愛甘甘な物語の仕掛けだけに使われるとゆうギャップが楽しいのだと言い切れる。
ウィリアム・M・リー『チャリティのことづて』 ハートウォーミングな時を超えたテレパシーが、なんでか魔女狩りにつながってギャワー。時を超えた伝言って、ろまんてぃっくな仕掛けじゃよねー。アユタヤ朝の寺院にある山田長政の落書きみたいなもんじゃよ?(わりと台無し)
デーモン・ナイト『むかしをいまに』 人生がひたすら逆転する話ってディックやバラードも書いてたけど、だれでも思いつくしビジュアル的には間抜けな話をこんなにもしっとり仕上げてしまうのがおそろしいぜ。普通の時間の流れだったらおそらくひどい別れ方をしたであろう妻とのロマンスが、逆転されるととんでもなく美しくてふしぎ。
ジャック・フィニイ『台詞指導』 昔が好きすぎて昔を再現したら昔に戻っちゃったとゆうフィニイの芸風は、細部にこだわることで説得力がでる。その細部が正しいか正しくないかはともかくとして、という意味ではまさしくSFなのか?(馬鹿はSFの科学的説明がいつも理解できないが、なんとなく納得していた)
ウィルマー・H・シラス『かえりみれば』 「人生をやり直したい」とゆう他愛ない繰り言をポロリと漏らしただけなのに、すぐにその願いを叶える謎薬を処方する教授は、変態科学者アンソロジー『マッド・サイエンティスト』に出演するべきだと思った。
バート・K・ファイラー『時のいたみ』 おそらくは自分自身が望んでそうしたであろうが、その意図が自分自身にもサッパリわからないとゆうシチュエーションが楽しい。失われた過去を取り戻したいとゆう真摯な願いは叶えられるが、それが輝かしい未来の保障にはならない。
ロバート・Fヤング『時が新しかったこと』 トリケラトプス型タイムマシンとゆう素敵すぎるガジェットが楽しい。そして天才が努力すれば、どんなことでも可能なのだと言い切れる(物語的にも)。体中が痒くなるような妄想寸前(てゆうか、カーペンターさんの死ぬ間際の妄想?)の甘甘ラブストーリーだが、でも俺、そんな話嫌いじゃないぜ?(『たんぽぽ娘』の発売を待ちながら)
チャールズ・L・ハーネス『時の娘』 この親娘こえー。ろまんてぃっくってゆうか、男視点で見たらサイコホラーじゃね?と思った。どこに行ってもあの女が追ってくる…!
C・L・ムーア『出会いのとき巡りきて』 ものすごくろまんてぃっくな話なのだが、エリックがタイムマシンを背負っている姿は、おそらくとてもおもしろい姿なんだろうなと思った。この短篇のよさはよくわからん。
R・M・グリーン・ジュニア『インキーに詫びる』 露骨にSFな仕掛けがある他の作品もいいけれど、「記憶」とゆう名のもっとも原始的で魅惑的なタイムマシンを駆使してるこの作品が一番好き。ナボコフみたい。