六塚光『レンズと悪魔』4 角川スニーカー文庫

レンズと悪魔〈4〉魔神幻世 (角川スニーカー文庫)

レンズと悪魔〈4〉魔神幻世 (角川スニーカー文庫)

収録作品:テッキの日記より抜粋・その一/エルバ・ナイトロンドは豆を食らう/テッキと不愉快な仲間たち/テッキの日記より抜粋・その二/敗北者たちの挽歌

『タマラセ』もそうだったのだけれど、本編よりも短篇集が度外れに好きすぎるリトル邪道なわし。本編のお話の流れも気になるけれど、自由でユルユルなかんじでその世界の空気を楽しんでいる作品が好きなの。もう読むのやめちゃったけど、『マリみて』も一般学生の話が好きだったし(変態紅薔薇ストーカー鵜沢美冬が好きすぎる)。てゆうか、六塚作品特有のキャラクターの馬鹿っぷりってゆか、馬鹿丸出しっぷりってゆうか、剥き出しの馬鹿ってゆうか、ネイキッドな馬鹿をたっぷり楽しめるノデ。
今回の『レンズと悪魔』の短篇集は、時系列バラバラの独立した中短篇の間にテッキの回想を挟むことで一見本編との合流を果たしているように見えるが、基本的にはやっぱり馬鹿ばかりの馬鹿の競演でした。馬鹿万歳。

『エルバ・ナイトロンドは豆を食らう』 普通の話ってゆうか、雑誌連載時のイントロダクション的な話。わりとまともな話のはずなのにドージェさんの迷惑馬鹿ぶりがキラリと光る。

『テッキと不愉快な仲間たち』 話も登場人物もすべて馬鹿で出来ており、All BAKA and no clever makes Mutuduka a BAKA writer.「芋づる式に」とか出てきて、「ホントに芋づる式だったらイヤだなー」と思って読んでたら、ホントに芋づる式でした。世の中って想像以上だー! 異様な事態が異様な几帳面さでキッチリ繰り返され増幅されていく昔話的な馬鹿さって、佐藤哲也『イラハイ』を思い出すね。

『敗北者たちの挽歌』 ゲェー! 馬鹿なのにちゃんと推理小説になってるー! 馬鹿に見える人の馬鹿に見える言動が実は馬鹿じゃなかったという話は好き。普通の推理小説じゃなくて、この世界でのルールをちゃんと解決に盛り込んでいるところも好き。